調味料という名の、人生を変えるアート。Hinokiコラム Vol.1

こんにちは。Hinoki代表の藤田直樹です。
Hinokiって何? と気になってくださったみなさまに、このブランドの物語を知っていただきたく、コラムを始めました。
調味料は“表現”。
いきなり結論。
Hinokiの味は僕の半生の結晶であり、世の中に対する“問い”です。元料理人の僕は、現在調味料をつくっていますが、ずっと“商品”という言葉がしっくりこないなと思っていました。どちらかというと、これは僕が生きてきた時間や経験を、ひとつの瓶の中に閉じ込めた“作品”に近い。
もちろん、みなさまに買って食べていただきたくて作っているのですが、流行やデータを基準に味を決めたこともありません。
マーケティングから生まれた商品ではないのです。
僕が作っているのは、世の中に合わせた味ではなく、「自分の脳みそを痺れさせた、あの衝撃」を、今の自分の力で再構築したものです。
味は嘘をつきません。
どんな人生を歩んできた人間なのか、何に気持ちが震え、何に怒り、何を愛してきたのか——全部、ごまかしなく滲み出てしまう。つまりHinokiは、食の形をした“表現”であり、僕が生きてきた証そのものです。
大げさですかね?
いや、そんなことないと信じています。
自分が一番おいしいと思うものをまっすぐに、自分に正しく、ごまかさず作る。そうしたら、その思いとおいしさに触れた人の気持ちも震わせられるはず。そんな思いで作っています。
人生を変える体験
僕の半生は、決してきれいな物語ではありません。17歳で高校を辞めたので最終学歴は中卒。飲食や工場や鳶の現場を転々としながら生きて稼ぐのに必死でした。このまま続けていいのだろうかと悩む日々が続きました。
そして——19歳のとき。
僕はある料理に出会い、脳が痺れるような衝撃を受けました。ただ言えるのは、その瞬間、気持ちが震え、味が人生を変えるという事実を、僕の身体が初めて理解したということ。あの衝撃は、いまでも僕の中心に燃えています。
僕は、誰かに求められた味ではなく、あの日、自分をぶっ壊したあの体験を、調味料という形にして世に問いたいと思っています。
僕は信じている。自分が震えた味は、きっと誰かの気持ちも震わせられると。これは僕の信念でもあり、“問い”でもあります。
「味はどこまで人を動かせるのか」
「人生を変える一口は、本当に存在するのか」
その答えを探すために、今日も食に向き合っています。この調味料は、僕が歩いてきた道の濃縮された断片です。荒くて、不器用で、時代遅れな体験もあったけど、そのすべてが、僕の味には欠かせない。だからこそ、ここから先の物語は、“食という表現手法”を選んだ僕が、どんな衝撃に出会い、どうやって自分の表現を見つけていったのか。
その始まりから話したいと思います。
藤田 直樹 Naoki Fujita / Founder of Hinoki. Flavor Artist & Producer of local culture.
1989年生まれ。静岡県出身。17歳で高校中退。飲食業、工場勤務、鳶職などを経験したのち20歳のときに“割烹にし堀”の西堀高市親方に出会って啓発され、料理の道を志す。親方の指示に従って京都、宝塚で料理人としての経験を積み、“割烹にし堀”で4年間修業。にし堀廃棄に伴い上京して洋食レストランなどで働くが腰の故障で入院加療し料理の道を断念した。もともと興味があったファッションのイベントを通じて、斯界の重鎮として高名な干場義雅氏と第二の出会いを得る。氏の引き立てにより傘下に入り、氏が主宰するファション誌の編集などに携わった。しかし食への思い断ち難く2019年株式会社Hinokiを設立。理想の無添加調味料を追求している。2023年10⽉から総務省が実施する派遣制度「地域活性化起業⼈」として、群⾺県吾妻郡⾼⼭村にてHinokiのノウハウをいかし、⾷品加⼯所とカフェの運営⽀援業務を⾏う。




